いろんな感情が交錯した2日間

いろんな人と接して、いろんな感情が交錯した2日間だった。


あるお宅に家電を届けた時のこと。
おじいさんが、家から道路を隔てた畑で、お尻をついて座っていた。

もしかしたら脳卒中のようなご病気を経験されたのかと想像されるような話し方で、発音がはっきりしない。
身体の動きがぎこちなく発音に難はあるけれど、話の内容は筋が通っている。

私が「この畑も津波にやられちゃったんですよね」と、間抜けな質問をすると、
「そりゃそうだよ、あそこまで水が来たんだから。怖かったよー。」と、縁側のサッシの上を指差した。一生懸命、何かを訴えるように、震災の時のことを話してくれるのだけれど、発音のぎこちなさと方言が混じっているのとで、なかなか聞き取れない。

聞き取れなくても、ただ「うんうん」と頷いて話を聞くだけでも、もう少しそこにいれば良かった。

滞在時間が短いので、つい効率のことを考えてしまう。
しかし、報告の時に「話し込んでしまって効率が悪かった」と、チーム王冠の大津君に報告しても、笑顔で「あーーー、良いですねーー!」と言われることはあっても、責められたことは一度もない。
はっきりと言われたことはないけど、そういう何気ない話から本当のニーズが探れるし、住人の人たちと近づけるし、何よりそれが住人が喜ぶことだからだと思う。

おじいさんのお話にもう少し耳を傾けてくれば良かったと、今回一番後悔したことだった。



手前両側は畑。でも砂だらけで使われていなかった。
畑が大丈夫だったら、おじいさんにも日中にできることがあったのかもしれない。
ガラス越しに見える部屋の中も、全然片づいていない。おそらく床下の泥出しまでが精いっぱいなのだと思う。
家電の受け渡しのために、おじいさんの息子さんが車で仕事場から戻ってきてくれたが、昼間仕事があるから家は片づかないよね…。



別な角度から。
窓のサッシの上まで水が上がったとおじいさんが言っていた通り、壁にうっすらと跡が残っている。
外壁が剥がれ落ちているのは、流れて来た物がぶつかったから水の高さより上なのかも? これからくる冬の寒さをしのげるとは思えないのだけれど…。
それに手前のコンテナも元々ここにあったものじゃないよね?



このように砂だらけの道や空き地が、まだたくさんある。



また別なお宅では、元気なおかあさん(60代?)からいろんな話を聞かせてもらった。

「 歩けて声が出せる人は、助けを求められる。でもそうじゃない人もいる。しゃべれないし歩けない年配の人を助けて欲しい。私自身、身内を助けるので精一杯。近所に困っている人がいてもなかなか助けられないのよ 」
「 物資を配るだけじゃなくて、海はすぐにお金になるから、漁に使えるような船とか網とか道具を支援して欲しい。製氷機を整備するなど、漁港を使えるようにしてほしい。そうすれば被災者は自分たちで稼げる 」などなど。

私は「 ただ単に物資を配ることがいいとも思わない。本当は必要でない人が受け取っている可能性もあるとは思う。でも、本当に必要な人を、外から見極めるのは困難。物資が必要でない人に渡ることを恐れていたら、本当に必要な人に渡すこともできないと思う。もちろんチーム王冠もただ配ればいいとはまったく考えていない。」と言った。また、
「私は、東北のこの事態を見過ごせない。小さな力でも、ここで何もしなかったら何十年か経ってこの時のことを振り返った時に、『自分はあの時に何もしなかった』って、絶対後悔すると思う。だから続ける。頑張る 」と言ったら、
そのお母さんは、「 頑張って支援続けてね。頑張ってね!! 」って何度も言いながら、笑顔でトラックを見送ってくれた。

被災した人から「 頑張って 」って初めて言われて、本当に元気が出た。やらなきゃ、と思った。
そのお母さんは、私たちにすがるような支援を求めているのではない。人生の先輩が、後輩にエールを送ってくれているのだ。だから私も勇気が出る。


どこでもそうだけど、被災した人たちは、やはり話したいのだ。「どんな経験をしたか」「今、思うこと」など。
話したくない人に無理やり語らせることはない。でも話したい人には、私たちはただ話を聞くだけでもお役に立てる。というか、口を挟まずにただ真剣に耳を傾けることが求められていると、痛切に感じた。

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チーム王冠でボランティアをすれば、被災者の生の声が聞けます。話を聞くだけでも立派なボランティアになります。力仕事ができなくても被災者の力になれます。そのルートをチーム王冠は持っています。

ウィークデーは、単発のボランティアが皆無に等しいらしいです(もちろんコアメンバーはフル回転)。もしも参加しようか否か迷っている人がいたら、勇気を出してぜひ参加してみてください。疑問や質問には分かる範囲でお答えしますので、私まで遠慮なくお問い合わせください。
   sugisaki@shichiya.biz
   090-7830-2725
   杉崎 庸子(すぎさき ようこ)

もちろん、チーム王冠あてでも結構です。
   090-3946-3272 (担当:大津さん) → 東北男児なので多くを語らずちょっと取っつきにくい印象かもしれませんが、根はすごーく優しい人です。慣れてくるとからかわれたりします。(笑)


↓いつも全力疾走の大津さん