ミュージカル「とびだす100通りのありがとう!」

公式ホームページ
http://minna-arigato.com/

いつまで閲覧できるのか分かりませんが、載せておきます。
3/19(月)のNHK総合「ニュースウォッチ9」の特集です。
http://cgi2.nhk.or.jp/nw9/pickup/?date=120319_1


「お世話になった日本中・世界中の皆さんにお礼が言いたい」と、被災者が自らの体験を語り歌い踊るミュージカル。

この作品の構成・音楽などをつとめる寺本建雄氏とは、以前に同じ劇団で働いたりした経緯で、今回の舞台の裏方をお手伝いすることになりました。当時の私はアルバイトの身分で、しかも広報の事務補佐的な仕事しかしていなかったので、お役にたてるか不安でしたが、とにかく人手が足りないということで、東京実行委員のメンバーに加わりました。

3/18(日)、銀座での2公演は大成功で幕を閉じた。
私は主に楽屋でタイムキーパーや雑務を担当。その合間に舞台稽古やゲネプロ、本番を切れ切れに観ることができた。

公開ゲネプロ直前の立ち位置確認


みんな本当に素晴らしかった

舞台は、冒頭から九死に一生を得た体験談がゴロゴロ出てきて、客席の後方にいても、お客様が涙をこらえる様子がよく分かった。こらえ過ぎて咳きこむ人がたくさんいた。

でも苦しい中でもユーモアもあり、ドカーンと笑えるシーンもたくさんある。体験談、歌、ダンスがどんどん繰り広げられて、お客様は一時も目を離せない。会場の温かい雰囲気に勇気づけられて、出演者たちも力を発揮できたと思う。最高のお客様に恵まれた。


昨年末からの準備の段階から、この舞台は震災で被災した人たちのもので、お手伝いの私は、どこか入り込んではいけない遠慮を感じていた。
でも2月のレコーディングの時、寺本さんや出演者の前谷ひろしさんから「世界に向かってありがとうを言いたい気持ちは同じなんだから、一緒にぜひ歌おう」と言ってもらえてとても嬉しかった。世界中の支援にお礼を言いたい気持ちは、震災直後からずっとあったから。

だから、本番でも一緒に歌った。近くのお客様に迷惑にならないようにほとんど口パクだったけど。
2階席最後尾から舞台のみんなに手を振りながら、歌が地球をグルッと回る様を思い浮かべながら、世界に向かって歌を歌えた。こんな機会を得られるなんて想像もできなかった。

みんなに本当にありがとう、ありがとう、ありがとう。


1月に東松島高校の体育館で参加者に会った時、表情が硬い人が多かった。頬の筋肉が板のようで、笑っていても目に力がない人がいた。そういう人たちが、お稽古を重ねるごとにたくましくなっていった。
本番では、力強くも柔らかい自然な笑顔が舞台と楽屋に弾けていた。疲労で声が出なくなった人もいたけど、「伝えるんだ」という気持ちがあれば、かすれた声でも舞台の観客に届く。2階席の最後尾にいてそれを実感した。

2回目公演の直前、男性楽屋では気合の入れ直し!



石巻日日新聞は、号外発行! なんて粋な取り計らい!!
※しかしこの号外、3/18の日付なのに、なぜか17日の公開ゲネを観にいらした方にも配られた(笑)。

表にはみんなの笑顔。

裏面には、舞台の歌に出てくる宮城名物の写真。



この舞台は、多くの人の心に刻み込まれた作品になった。たくさんの人の力が結集してなし得たことだ。
でもやっぱり寺本さんがいなかったら絶対に存在しない舞台だった。
参加者から体験を聞きだし、被災地を取材し、音楽や美術にも心血を注いだ。
歌や演技の指導も厳しかった。シロウトをシロウト扱いしなかった。「被災者みたいな顔して歌うなっ!!」なんてズバッと言えるのは、寺本さんだからだ。言葉は厳しくても愛があるからみんなついて行く。

レコーディングの時の寺本さん。
ギター、笛、いろんなものを使ってみんなを引っ張っていく。


本番当日のパンフレットに「3.11を忘れないために」と寺本さんが書いている。
同じものが歌のCDにも書かれている。

「俺たちは悔しいんだ」ってことが、舞台冒頭の最初のセリフで伝わってきた。寺本さんは、みんなの気持ちを見事にセリフにして世に送り出したのだ。



東京実行委員としては、もっと余裕を持って出演者を迎える体制を整えるべきだった。ドタバタしっぱなしで情けなかった。「もう1回再演してくれれば、次はちゃんとできるのにねぇ」と何人ものスタッフと話していた。

スタッフの打ち合わせ資料と台本。


出演者にもまだまだ語り足りない人、歌い足りない人、踊り足りない人がいるんじゃないかなぁ!
当初の予定では仙台でも公演するはずだった。でも資金不足で断念。震災前から不景気で、文化的なことは真っ先に経費が削られていくご時世。仕方ないかもしれない。形に残らないから企業の業績としても分かりにくい。

しかし今回、公開ゲネも含めておそらく2,500人位の人がこの舞台を観て、その中にはスポンサーになるという人がいるんじゃないか、、、と密かに期待している。
そういえば、わざわざフランスはパリから取材に来たラジオフランスの人たちが「ぜひパリ公演を」と言っていたという。「招待してくれたら、私も裏方としてついて行ってあげてもいいよ」なんて、都合のいい妄想を抱きつつ舞台の余韻に浸っている。
秋篠宮様紀子様佳子様もご臨席くださった舞台なんだもの。何があっても不思議じゃないよね♪


素晴らしい時間を本当にありがとうございました!!

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東北ほっとプロジェクトの仲間、そーちゃん(笠原宗一郎)とその後輩のヤブ(薮野淳也)の作った、プロモーションビデオ。この時よりも本番は5倍以上良くなった!!