過去の記録--5/25(水) 買物バス / 渡波物資倉庫

もう1か月前になるが、5/25(水) 2回目のボランティアの時のこと。
この時はデジカメを忘れてしまい、写真は無し。


【買物バス】

9:30〜13:00までは買い物バスの運行。
住宅街の裏道は倒れかかった塀や、隆起、陥没した悪路で通れず、迂回せざるを得ない。

地域を2つに分けて、石巻渡波で唯一営業再開しているスーパーイオンへの送迎を行った。
車中で参加者の皆さんの要望を聞いてみた。遠慮しているようで、最初はあまり話さなかったが、こちらから「蚊とかハエは出ていますか?」と尋ねると、皆さん声をそろえて「すごいのよ、こんな大きいのがいるの!」と。

津波に運ばれたヘドロが側溝に詰まっているので排水が満足にできず、住宅地に水たまりができる。
また、水産加工用に保管してあった魚介類が津波でばらまかれ、瓦礫の隙間に残っている。だいぶ取り除いたのだけれど、大量の瓦礫の山からすべてを取り除くことは到底無理だ。こういった状態が、蚊やハエを爆発的に増殖させている。

蚊取り線香や殺虫剤、消毒薬が欲しいとのこと。
それから、カーテンやシーツ、夏物衣料も足りないという話だった。

現地のことを知らない人は、「イオンが営業再開しているなら買えるだろう」と思うかもしれない。が、被災地では、皆が同時に同じような物を必要とするので、品薄状態で入手しにくい。その上値段も高くなりがちだ。
何もかもお金がかかる被災者が、優雅な観光客のように欲しい物をどんどん買えるはずはない。


渡波の物資倉庫の片づけ】

チーム王冠の物資保管場所として、渡波地区のガソリンスタンドと、その隣の敷地を貸してもらえることになったとのことで、そこの片づけを午後から手伝った。
作業員は私たち夫婦を入れて、男性3名、女性4名。途中から男性陣は別な仕事で抜けた。

もともと、魚の加工食品を入れるダンボールを保管していた場所なのか、はたまた流れ着いた物なのか、使用前の折り畳まれた10枚1組のダンボールが大量に積み重なっていた。もちろんグチャグチャに。
その間に発泡スチロールの箱とか、クギの出た木材やら板切れやらもはまり込んでいる。
片づけ作業していて切ないのは、小さい女の子が着るような厚手のニットの上着などを手にする時だ。泥まみれでずっしりと重く、元の色や柄も分からなくなっている。これを着ていた子は無事だったのか? 震災の時に着ていたとは限らない、タンスから流れ出たものかもしれない、など瞬時にいろいろなことが頭を駆け巡る。

10枚1組のダンボールの束は、女の手には重い。海水を含んで重みを増し、ふにゃふにゃになって運びにくい。
これを一つ一つ引っ張り出して、道路の反対側の歩道に積み上げた。ここに置いておけば業者さんが引き取ってくれるとのこと。道路は作業トラックがよく通り、砂ぼこりをもうもうとあげて行く。しかし瓦礫撤去など、ここにいるトラックはみな重要な存在だ。無意識に黙礼したくなる。

作業のボランティア同士はみんな明るく、ダンボールの「ちくわ」の印字を見て「ちくわちゃん行きまーす!」「はい、ちくわちゃんねー」「もう〜、ちくわちゃんばっかり!」などと口々に冗談を言い合って楽しかった。
みんな口には出さないけど、目指す方向が同じなので、初顔合わせ同士でも気持ちよく作業が進む。

しかし!!
積み上げたダンボールはどれくらいだろう? 10枚1組を、200組以上は運び出したか?
「いやーー、頑張ったなー(^-^)。」と満足げに積み上げたダンボールを見渡す。
振り返って、これから運び出すべきダンボールの山をみると……。
減ってない! 全然、まったく、減ってない!!(T-T)

本当に気が遠くなるとはこのことだった。
頑張ったのに、全然達成感のないままこの日の作業を終えた。

しかし後から聞いた話では、この3日後、5/28(土)に山形ボランティアの人たちが大勢でやって来て、人海戦術で作業を終え、予定通り支援物資をこの中に搬入したとのこと!



↓ この写真は6月中旬に撮影

この倉庫の天井近くにまでダンボールや発泡スチロールの箱をメインに、その他種々のものがぎっしりと積み重なっていた!
地震津波のパワーはすごいけど、人間のパワーもすごい!
この倉庫の中で、しばし呆然と立ち尽くした。