「被災地生活状況調査」記者会見

株式会社パイプドビッツ、政治団体「日本一丸」代表の大西恒樹氏、ボランティア団体「チーム王冠」が協力して、宮城県石巻市で自宅避難をしている住民に対して生活実態調査を実施。その報告の記者会見が、赤坂のパイプドビッツ社で行われました。
記者会見なので本来は記者の方だけのはずですが、パイプドビッツ社に問い合わせしたところご快諾いただき、王冠ボランティアの夫と私も会場に入れていただけました。


その記者会見で発表された詳細データは、こちらにアップされていますので、ぜひご覧ください。
http://seijiyama.jp/investigation/investigation_ishinomaki_1.html


◆調査の概要は以下の通り。(調査レポートからの引用)

1.調査目的
東日本大震災で家や家財に被害を受けた世帯の、家計と生活の実態を把握することを目的に調査を行った。

2.調査の方法

  • 調査対象:宮城県石巻市渡波地区(一部大街道地区を含む)で、調査実施時期に主に自宅で生活している世帯。
  • 調査方法:調査票を世帯ごとに直接配布し、3〜5日後に回収した。
  • 調査期間:2011年6月25日〜6月30日
  • 回収状況:配布数 750、有効回答数 530
  • 分析対象:530世帯、1,844人

◆ざっとご紹介しますと、以下のことが調査されました。

  • 住居の状況(損壊状況)、生活インフラの状況
  • 雇用の状況
  • 被災者の収入と支出
  • 一時金(支援金、義援金他)の受給状況
  • 資産、負債、二重ローン問題
  • 赤字世帯の生活持続可能期間の予測

◆私が印象に残ったことは次の通り。

  • 調査対象地域で回答がった世帯のうち、87.1%が全壊または半壊認定を受けた家屋で生活している。
  • 上水道は8割以上が復旧しているという調査結果。しかし実際は、サビや砂、油、塩分まじりの水が出るところもあり、飲料には使えないところもある。そういことは現場で活動していないと分からないこと、数字には出てこない。
  • 調査対象地域では、エアコンも扇風機も持たない家庭が47%もある。
  • 震災後、雇用が3〜4割も減少した。
  • 調査対象地域では収入総額が45%も減少した。
  • 世帯支出構成は、食費22.1%、ローン返済18.5%、光熱費11.7%で、この3項目で支出の半分以上(52.3%)を占めている。
  • 支援金を申請した世帯の約98%が、まだ支援金を受け取っていない。
  • 支援金をローンと勘違いして、「借りても返せないから」と申請しない被災者がいる。また申請の方法が分からず申請できない人もいる。
  • 現状で、流動資産がない、もしくは赤字をまかなえずすでに家計が破たんしているのは95世帯。2年後には154世帯になるだろうと予測。二重ローンを抱えた場合は、2年後には184世帯が家計が破たんするとの予測。

総評」http://seijiyama.jp/investigation/investigation_ishinomaki_2.htmlは非常に重大な内容を示している
「今回の調査でわかったのは、仕事も家財も失った人々が生活に困窮し、それゆえに食糧支援や物資支援を必要としている実態だ。問題はすでに、震災の問題ではなく、震災という経済的インパクトを伴う出来事の結果、従来の経済社会システムから放り出された人々の生活保障の問題に移っている。単なる復興だけではなく、それを支える経済政策について抜本的な議論をしないと、急激に発生したこのような大規模な社会保障を支えきれず、この問題が日本全国に飛び火することは確実である。」


左が日本一丸 大西 恒樹氏、右がチーム王冠代表 伊藤 健哉氏


株式会社パイプドビッツ代表取締役CEO 佐谷 宣昭氏


記者会見後、集まった記者と名刺交換